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2017/12/13 [言語:日本語|简体中文]
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2017/09/18 【朱炎先生シリーズ】(第三弾)第14回世界華商大会に参加する報告
2017年9月16~17日、第14回世界華商大会がミャンマーの最大都市、ヤンゴンで開催された。 
 2015年のインドネシア・バリ島で開催された13回大会では、次回の大会がミャンマーでの開催を決めた。主催側はミャンマー中華総商会である。 
 今大会では「ミャンマー経済の大開放、歴史的新紀元の開拓」をテーマに設定し、ミャンマーの経済開放をチャンスに、大会を通して世界の華人企業家と協力関係を築き、ミャンマー経済発展の新紀元を拓く、という趣旨である。 
 主催側の発表によると、今回の大会に海外30カ国・地域の90団体から1500人、地元代表800人、合計2300人の華商と関係者が出席した。日本からも、日本中華総商会が63名で構成する代表団を派遣し、大会に参加した。 
 以下、大会の主な内容と筆者の認識と感想を述べたい。 
 
1.大会の主な内容 
 
(1)歓迎晩餐会 
 華商大会は9月15日夜の歓迎晩餐会、すなわち世界華商大会の前夜祭からスタートした。 
 ヤンゴン州知事ピョー・ミン・テイン氏が挨拶し、開催地の政府を代表して、大会に参加する華商の代表を歓迎し、大会が世界の華商とミャンマー経済にチャンスをもたらすと期待すると述べた。ミャンマー中華総商会会長の呉継垣は主催者を代表して、華商大会に参加する各国から華商代表を歓迎する意を表した。中国華僑連合会副会長、中国僑商連合会会長の許栄茂が来賓の代表として感謝の意を表した。晩餐会にミャンマー宗教・文化省の文化芸術団の芸術家たちが民族舞踊を披露した。 
 
(2)開幕式 
 9月16日午前、14回世界華商大会の開幕式がミャンマー・コンベンション・センター(MCC)で開催された。ミン・スエ(Myint Swe)第一副大統領は祝いの銅鑼を叩いて開会を宣言し、開会あいさつを行った。副大統領は、華商大会はミャンマーで開催することで、中国との友好協力関係を発展させるのみならず、世界の華商のミャンマーへの投資にチャンスを提供すると述べ、戦略的な立地にあるミャンマーは、一帯一路構想の成功に貢献できると指摘した。 
 中国海外交流協会副会长の許又声は、中国全国政協主席兪正声からの祝賀メッセージを代読した。兪主席はメッセージの中で、華商大会の開催をお祝いし、世界の華商は各国経済の発展、所在国と中国との経済協力を推進する重要な力であると評価し、華商たちがチャンスを掴み取り、自らの優位性を生かし、互恵協力を通して自らの事業のさらなる発展を実現させるべきと期待を寄せた。 
 次に挨拶したのは中国全国政協副主席、全国工商連合会主席王欽敏である。王氏は、一緒に「一帯一路」の建設に参加し、共にミャンマー経済の大開放の中で投資と発展のチャンスを探し、ミャンマーの人々と共同で歴史の新紀元を拓くと華商たちに呼びかけた。 
 華商大会に参加するために初めてミャンマーを訪問する香港の行政長官、林鄭月娥(キャリー・ラム)も開幕式で講演した。ラム長官は、香港とミャンマーの経済面の協力を推進し、ASEANとの経済関係を推進する意向を表明する一方、「一帯一路」における香港の役割を紹介した。 
 ミャンマー中華総商会会長、今大会の準備委員会の責任者である呉継垣が開幕式で挨拶し、ミャンマーの華商と華人団体、華人社会を総動員して、大会開催のため払った努力を紹介し、ミャンマーの発展と大会の成功を期待すると表明した。 
 ミャンマー商工会議所連合会(UMFCCI)のザー・ミン・ウィン(Zaw Min Win)会長が、現地の財界を代表して挨拶し、ミャンマー財界と世界の華商とのビジネスの連携への期待を表明した。 
 世界華商大会秘書処(事務局)を担っているタイ中華総商会の陳振治会長は、世界華商大会の運営側、また各国の華商団体を代表して、華商大会がミャンマーで開催する意義を説明し、各国政府と世界の華商に対して引き続き華商大会を支持することを要請し、華商大会のさらなる発展を図ると挨拶した。 
 開幕式で最後にスピーチしたのは、中国とASEAN諸国で幅広く事業を展開するタイの華人系財閥チャロン・ポカパン(CP)グループ会長のタニン・チャラワノン(謝国民)である。タニン会長は自らの農産品、食品加工業に従事した体験から、華商がミャンマーの経済発展や、「一帯一路」建設において、大きな役割を果たせると述べた。 
 
(3)フォーラム 
 9月16日午後、華商大会はテーマ別のフォーラム(分科会)を開催し、①ミャンマーの投資環境と最新投資条例、②「一帯一路」に関するテーマ、③青年華商の継承と創新、という3つのテーマを取り上げた。 
 「一帯一路」に関するセッションには、蔡冠深(香港中華総商会会長、香港新華グループ会長)、李興裕(マレーシア中華総商会社会経済研究センター執行役員)、王文(中国人民大学重陽金融研究院院長)、羅衛東(中国浙江大学副学長)、鐘廷森(マレーシア金獅グループ会長)、楊騰波(英国中華総商会常務副会長)が相次いでスピーチし、司会は地元の李祖清(ミャンマー「網絡胞波」社会長)である。 
 蔡会長は、香港はASEAN諸国の緊密な関係もあり、「一帯一路」構想の推進においてスーパーコネクター(Super Contactor)と投資者の役割を果たせると述べた。王院長は一帯一路が実施してから4年間、予想をはるかに上回った成果を収まり、一帯一路建設は国際公共財として、世界各国に評価されていると指摘した。 
 対ミャンマー投資に関する分科会では、ミャンマー投資委員会(MIC)委員長、計画・財務省大臣チョー・ウイン(Kyaw Win)が挨拶し、投資政策に関するミャンマー政府の立場と方針を説明した。MICの事務局を務める投資企業管理局(DICA)のアウン・ナイン・ウー(Aung Naing Oo)局長はミャンマーの投資政策の変化、投資法と新会社法を説明し、投資できる分野も紹介した。いずれも現地の華商である4名のパネリスト、潘継澤(Serge Pun、恒澤グループ会長)、許日強(KBZ銀行顧問)、Daw Win Win Tin(City Mart会長)、李有輝(金山グループ会長)は、自らの体験でミャンマーの投資環境、企業経営の実態を説明し、世界の華商にミャンマーへの投資を呼びかけた。 
 青年華商の継承と創新というテーマの分科会では、シンガポール中華総商会副会長の呉学光、シンガポールの若い企業家の呉紹均、張凱翔、郭益智、ミャンマーの中華総商会副会長の潘偉鋒、緬北中華商会会長の李東涛が相次いでスピーチし、中華文化の伝統を継承しながら、所在国の国情と環境、文化と融合することで、独自の文化精神を作り出し、また、家族企業の伝承と新たな創造で企業を発展させる、などについて議論を深めた。 
 
(3)閉幕式 
 9月17日夜、第14回世界華商大会の閉幕式がミャンマー・コンベンション・センター(MCC)で行われた。まず、国家顧問省チョー・ティン・スェー大臣がミャンマー政府を代表して挨拶し、華商の対ミャンマー投資、ミャンマーと中国の企業間の協力の進展を期待すると述べた。 
 今大会の準備委員会委員長、ミャンマー中華総商会副会長の高景川がスピーチし、2年間の努力によって、3日間の大会が成功を収め、参加の代表に感謝する。今大会をきっかけに、ミャンマーと世界華商のネットワークを活用し、ミャンマー経済を発展させていくと述べた。 
 中国海外交流協会許又声副会长は、今までの華商大会はいずれも開催国と世界各国の華商の地位向上とビジネスの影響力拡大に大きな効果があったが、今回の大会もミャンマーへの投資、ミャンマーの経済発展、そして一帯一路建設を促進できると述べた。 
 香港中華総商会の蔡冠深会長は、大会の成功で、ミャンマー中華総商会に感謝すると発言した。 
 世界華商大会秘書処(事務局)の交代も閉幕式で行われた。タイ中華総商会は世界華商大会秘書処を務めて6年間の任期を終えたので、シンガポール中華総商会が秘書処の責務を引き継いだ。シンガポール中華総商会の黄山忠会長が挨拶し、世界華商大会の伝統を継承し、新思考、新技術を導入することで、さらなる発展を図ると述べた。 
 今回華商大会の主催団体が次回の大会の主催団体に、主催団体を象徴する旗を渡すのは閉幕式の慣例である。今度は、2019年の第15回世界華商大会の開催地、英国中華総商会の張進隆会長は、ミャンマー中華総商会の呉継恒会長から渡された旗を引き受けた。張進隆会長は、初めて欧州で開催する次回の華商大会に、世界の華商を歓迎すると発言した。 
 また、世界華商大会秘書処は、2021年の第16回世界華商大会の開催地、主催団体を募集すると告げた。 
 その後、ミャンマー国家芸術団の芸術家たちは民族音楽・舞踊を披露した。閉幕式の最後に、次大会開催地である英国からの芸術家たちは、英国風の演奏、歌とダンスを演出した。これによって、第14回世界華商大会はすべての予定を終えて、閉幕した。 
 
(4)他の活動 
 9月17日、主催者側は大会参加の代表たちに、ヤンゴンでの現地視察のプログラムを用意した。ミャンマー仏教の有名な寺院であるシュエダゴン・パゴダ、特産品と工芸品を販売するアーンサン・マーケット、そしてチャイナタウンを視察した。見学と視察を通じて、ミャンマーの社会、経済、文化への理解も深めた。また、主催者側は大会参加者にゴルフ大会も催した。 
 世界華商大会の開催に合わせて、華商大会の顧問委員会の会議も開催された。世界華商大会秘書処が招集し、今まで華商大会の開催地の主催団体がメンバーである。今回の顧問委員会は、今大会の運営状況や、次回大会の準備事業を検討した。 
 また、華商大会の開催期間中に、大会に参加する各団体は、自らの活動も併せて行った。例えば、中国僑商連合会はヤンゴンで「ミャンマー・中国投資貿易交流会」を開催し、ミャンマー政府の大臣、高官、中国僑商連合会の大会参加者200名以上を含め、合計400人が出席した。交流会では投資・共同事業の案件の調印式も行われた。 
 
2.大会に参加する感想 
 
 筆者はいままで世界華商大会にすでに11回も参加した。これまでの華商大会に参加した自らの経験から、今大会の参加に通じて得た新たな認識と感想を以下のようにまとめる。 
 第1に、今回の大会への参加者は合計2300人にとどまり、これまでの毎回の大会と比べて、今大会はやや小規模である。また、フォーラム(分科会)のテーマ、参加人数も比較的少なかった。この規模は会場などの条件にも制約された。会場のMMCはミャンマー最大の会議施設であり、2300人の規模はその限界になる。 
 主催者側はこのような国際会議を初めて運営し、経験不足、条件と環境の制約もあるが、大会の企画、プログラムと内容、ロジステックなど、細心の注意を払った。評価すべきである。 
 第2に、ミャンマー政府は華商大会に対して、積極的支援する姿勢を感じた。また、ミャンマー経済を発展させるチャンスを掴む意欲も強いと感じた。大会における政府高官の発言では、中国との関係強化、経済協力関係の促進、中国企業と世界の華商の投資を誘致する期待が大きい。華商大会なのに、ミャンマー政府にとって、華商よりも、中国との関係強化をより重視していると感じた。ちなみに、数年前、ミャンマー政府は中国企業の投資案件を取り締まる傾向があったが、現地の華商の話によると、当時は選挙のためであったが、現在は選挙が終わり、ミャンマー経済に大きなメリットがあると改めて認識し、中国との経済関係を促進する姿勢に回帰したという。 
 また、ヤンゴンの警察当局は1200名の警官を動員し、大会開催の警備にあたった。 
 第3に、ミャンマーの華人財界は政府と良好な関係を築いている。ミャンマーの最高実力者、アウン・サン・スー・チーは大会に出席しなかったが、首都ネピドーで来訪した香港のラム行政長官と会見した。開幕式で演説したミン・スエ第一副大統領は軍出身であり、2016年の総選挙の際、軍事政権とつながる前与党の連邦団結発展党から推した大統領候補であった。一方、大会に参加したピョー・ミン・テインヤンゴン州知事と国家顧問省チョー・ティン・スェー大臣はいずれも与党国民民主連盟に所属し、アウンサンスーチー氏の側近といわれる人物である。これでは、主催側のミャンマー中華総商会は、政府と与野党ともよい関係を築き、大会の開催はミャンマー政府の支持を取り付けたと分かる。 
 ちなみに、主催側のミャンマー中華総商会は、ミャンマーの複数の国家級の芸術団体を招いて、歓迎晩餐会、開幕式と閉幕式でミャンマーの民族的伝統芸術を披露した。 
 第4に、大会期間中、ミャンマーと世界の華商は、ミャンマーの発展と安定に寄与するため、数多くの資金を寄付した。9月15日の前夜祭に、ミャンマー中華総商会とシンガポール中華総商会が、ミャンマーの教育事業のため、ミャンマー政府に5000万チャット(約410万円)を寄付した。また、17日の閉幕式には、ミャンマー中華総商会は、ラカイン州の民族衝突の被害者救済のため、ミャンマー政府に5000万チャットを寄付した。さらに、閉幕式で、大会に参加した中国の広西商会がミャンマー中華総商会に、ミャンマー中国企業商会、広東恒興グループ、亜太国際グループはミャンマー政府に、災害救助のためにそれぞれ2000万チャット(約160万円)を寄付した。 
 第5に、ミャンマーの華人商会と華人社会に対して、理解を深めた。ミャンマーの華商団体は1909年に創設したミャンマー華商商会であり、2015年に世界華商大会を開催するためミャンマー中華総商会に名称変更した。本部はヤンゴンにあるが、第2都市マンダレーに支部があり、緬北中華商会である。今大会開催のため、ミャンマー中華総商会と緬北中華商会は総動員し、会員の多くは準備委員会に参加して大会の運営に携わり、大会の運営資金を集めるため積極的に寄付し、スポンサーとして協力した。ミャンマーの華人華僑も華商大会に協力し、ボランティア活動に参加した。雲南会館の青年会の場合は、240名の会員がボランティア活動に参加し、海外からの代表のロジステックへのサポートを担当した。 
 最後に、日本の華商も華商大会に積極的に参画した。日本華商の代表的な組織は日本中華総商会である。1999年に設立してから、日本中華総商会は毎回の世界華商大会に代表団を組んで参加してきた。2007年、日本中華総商会の主催の下で、第9回世界華商大会は神戸で開催された。 
 今大会には、日本中華総商会は、厳浩会長をはじめ、63名の代表が参加した。厳会長は顧問委員会にも参加した。また、日本福建経済文化促進会、日本華人企業家協会、神戸中華総商会などの団体も今大会に参加した。日本からの参加者は、華商のみならず、学者、日本企業の代表も多数含まれている。日本中華総商会は、華商大会参加でミャンマー訪問期間中に、ヤンゴンにある日本の華商が投資した企業、日系企業も視察した。 
 ちなみに、ミャンマーに進出した日本企業のセコムは、今回の華商大会のセキュリティを引き受けた。 
 
 

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